ヴォルカニック・ワイン・アワード | The Jancis Robinson Story (ポッドキャスト)

リバティで人気の大食漢

2017年8月26日 土曜日 • 6 分で読めます
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この記事のショート・バージョンはフィナンシャル・タイムズにも掲載されている。

もしイギリスのワイン業界で人気投票をすることがあるとすれば、ゆるぎないユーモアのセンスを持ち、美味しい料理にも楽しいゴシップにも貪欲で、メールへの返信スピードから推察するに電話を片時も離さず、年の半分は海外でブドウ栽培に関わっている60歳のカナダ人にその軍配が上がる可能性がある。

他にも様々な分野で専門性を発揮する人々はいるが、リバティ・ワインズのデイヴィッド・グリーヴ(David Gleave)は威張り散らすこともなく、常に礼儀正しく、自分が口を閉ざすべき時を心得ているオールラウンドプレーヤーだ。今年彼の会社は20周年を迎えた。1997年に従業員はたった4人だったが現在は140人となり、昨年度は5400万ポンドを売り上げた。

彼らの同業者の中には高い売り上げを達成する者もいるが、リバティはスーパーマーケットに供給するような薄利多売には手を出さない。彼らが手掛ける21か国330の生産者は全て非常に面白いワインを生み出す。さらに、同業他社より何年も前からグリーヴはレストランやバー、さらには次々に生まれてくる小規模小売店における商機を見出していた。 リバティは熱心に彼ら全員、特にロンドンの若く、その多くが外国籍のソムリエと懇意になっていった。リバティの20周年記念テイスティングはオクソ・タワーで開催されたが、その参加者の年齢層は非常に低く、イギリス人の比率は低く、伝統的なワイン業界の典型的な顧客と比較して型にはまっていなかった。私の友人のワイン・ライターであるステファン・ブルック(Stephen Brook)はテイスティング・テーブルに到達するために人々を肘で押しの気ながら進み、肩をすくめてこう言った。「これはもはやパーティだね。」

私がデイヴィッド・グリーヴに出会ったのは1980年代半ば、ロンドン北部にある地元のデリで、彼がマスター・オブ・ワインに向けて勉強している頃だった。彼はイギリスだけで終わるつもりはなかった。彼の計画ではバンクーバーの大学をやめて1年間ヨーロッパを放浪することだったのだが、1980年代初頭に彼が勤めていたダブリンのゲイバーのセラーの中身のとりこになってしまったそうだ。

ロンドンのワイン業界でデイヴィッドのメンターはニコラス・ベルフレージ(Nicolas Belfrage)MWで、1980年代我々に辛抱強くイタリア・ワインについて説いてくれたアメリカ人だ。このことでグリーヴもまたイタリア・ワインの偉大な専門家の一人となり、とりわけ彼らの大の仲良しと言えばロンドンのリバー・カフェであり、今や世界的に有名なシェフ、ジェイミー・オリバーだ。

1990年代半ばまでに彼は保守的なイギリスのイタリア・ワイン業界の指導者の一人だったレモ・ナルドーネ(Remo Nardone)、エノトリア・ワインセラーズの帝王でありこの地の事実上すべてのトラットリアやピッツェリアとつながりを持っている人物のマネージング・ディレクター代理となっていた。このように保守的な会社で働くと言うのは先を見通すグリーヴには似合わないことだったが、それは後に自身の会社の名前の選択につながることとなる。

最近開催された20周年記念テイスティングでは、生産者のテーブルがリバティの取り扱いになった年代順に並べられていた。14の生産地のうち11はイタリア(アルド・コンテルノ(Aldo Conterno)、イゾレ・エ・オレーナ(Isole e Olena)、フォントディ(Fontodi)、フェルシナ・ベラルデンガ(Fèlsina Berardenga)、コスタンティ(Costanti)を含む) 、そしてオーストラリア1つ、ニュージーランド1つ、フランスが1つであり、それらの名声はリバティの名のもとにゆるぎないものとなっていた(ケランヌのドメーヌ・リショー(Domaine Richaud)はパリにあるワイン・バー、ジュヴェナイル(Juveniles)のティム・ジョンストン(Tim Johnston)の紹介が功を奏した)。このテイスティングでの41本のイタリア・ワインのテイスティング・ノートも参照のこと。

グリーヴの情熱と専門性の対象となるもう一つの分野はオーストラリア、そしてスクリューキャップへの愛情だ。何年もの間彼はイタリアのみならず(スクリューキャップが必須な)オーストラリアやニュージーランドでもワイン作りに直接関わってきた。初期からの彼の支持者にはオーストラリアで最も著名な独立系ワイン生産者であるショウ・アンド・スミス(Shaw + Smith)のマイケル・ヒル・スミス(Michael Hill Smith)MWがいる。

マイケル・ヒル・スミスはこの比較的無名な存在に投資しようとした理由を以下のように語っている。「1986年私が最初のMWセミナーに参加したとき、思いがけなく若き日のデイヴィッド・グリーヴの隣に座ったんです。私はスマートで知識が豊富かつ手厳しいユーモアのセンスと遊び心をもつ彼がすぐに好きになりました。それ以来私たちは親友なんですよ。彼は1990年、ワインセラーズ在籍中にショウ・アンド・スミスのファースト・ヴィンテージをイギリスで販売してくれました。だから私たちはそのまま彼の後についてエノトリア、そしてリバティと取引をしているのです。」

「なぜリバティの立ち上げに投資したのか、ですか?答えは単純です。デイヴィッドは仕事ができるから。彼の舌は確かですし上質なワインもよく知っている。業界で彼は人気者だ。よく働く。そして彼はレストランを心から愛していて、いつも最高に予約のとりにくい店を押さえてくれるんですから。」

クレア・ヴァレーのジェフリー・グロセットはリースリングのオーストリアでの王であり、世界中に20以上の代理店を持つが、リバティもその一つだ。彼がグリーヴについて特に印象に残っている点は「(大きな)ビジョンを持っていて、独創的かつ(私の知る限り)冷静で勤勉、そしてワインの素晴らしい知識を持っている点ですね。」と言う。

グリーヴが広いワインの世界で何が起こっているのか常に理解しているのは事実だ(これはおそらく元オッドビンズの役員で今やワイン・ビジネスにおけるあらゆる買収や合併に陰から関わっているとされるジョン・ラトクリフ(John Ratcliffe)を友人に持つことにもよるのだろう。彼は2011年からリバティの株も少し所有している)。

グリーヴの常として、20周年記念テイスティングでもイギリスのワイン業界の(けして上向きとは言えない)状況についてプレゼンを行った。ワインの売り上げはオン・トレード、オフ・トレード共に落ち込んでいる一方、プロセッコだけがその明るい光となっている。60代以上の我々のような人間はそれなりに役目を果たしているものの、若い世代の消費量は少ない。バーよりも電話の方が人との交友を深めるのには重要なのだからなおさらだ。

おそらくグリーヴの目が常に将来を見据えているためだろう、ポルトガル人所有で家族経営ながら重要な位置を占め、マテウス・ロゼでその名を確立し、今は各種興味深いブランドの品ぞろえを誇るソグラペ(Sogrape)は今年初めにリバティの株を25%獲得している。

野心的なプーリアのワインを国際的に知らしめた一団の一つ、ア・マーノ(A Mano)のマーク・シャノン(Mark Shannon)は、彼がなぜ1999年という早い時期にグリーヴと契約をしたのか話してくれた。「彼に会ったのはパブで、世界中のあらゆるワイン・ビジネスに精通しているように見えたからです。彼は本当に賢い。そして社交家です。彼は善良な人々を雇い、彼らの好きなようにさせています。だからみんな彼の元に残るんですよ。」

一方、母親役の存在に気づかせてくれた従業員は著名な高級ワインアドバイザーの娘、フランセスカ・デ・パオリス(Francesca De Paolis)だ。彼女に言わせると「デイヴィッドはこれ以上ないほど知識が豊富でポートフォリオにあるワイン一つ一つへの情熱も深く、メンバー全員が彼から毎日何かを学んでいることは間違いありません。」だが、ここで彼女はデイヴィッドの妻で3児の母でもあり、リバティのコミュニケーション・ディレクターであるルシアン・フリン(Luciann Flynn)の果たす重要な役割に触れた。

「すべてをまとめているのは彼女ですよ。しっかりと、かつ温かく、支援や励ましも忘れません。まさにリバティの母親役なんです。」ルシアンはニュー・コヴェント・ガーデン・マーケットにあった迷宮のようなリバティの古い拠点を移したクラッパムにある気の利いた特注の建物の責任者でもある。従業員たちがそこで働き続けるのはおそらく彼らの雇用主としての質の高さが十分に示されているからだろう。

ルシアンはランナーでもある。デイヴィッドは熱心なサイクリストだが、おそらく豪華なテーブルでの食事をしなくてはならない多くの時間を正当化するためだろう。2500の顧客から厳選した一団を連れてイタリアを周る彼のツアーは伝説的だ。特にトリュフのシーズンのピエモンテはことさらである。上の写真はこの初夏にイタリアで行われた「DG」サイクリングの様子で、友人やリバティの営業担当などが同行している。この旅行の一部はヴィニ・ファンティーニ(Vini Fantini)という 、リバティの取り扱う生産者、ファルネーゼ・ヴィニ(Farnese Vini)も出資者の一つである組織が運営しており、輝く小道具もその一つだ。いつもはチームでジロ(Giro)の用具に身を包むのだが今年はやらなかったそうだ。

ルシアンは彼が顧客に大盤振る舞いしすぎるとやきもきしているが、彼の行いは正しいに違いない。

リバティのあつかう素晴らしいイタリア・ワイン

20周年記念としてリバティは120もの生産者を招き、1本はクラシックなスタイル、もう1本は将来クラシックと呼ばれる可能性のあるもの、という2本一組でそのワインを紹介した。今回私は彼らの品ぞろえの核であるイタリア・ワインに集中することにした。このサイトでテイスティングしたことのないワインを選んだつもりだが、あまりの混雑に必ずしも正確にできたわけではない。以下に紹介するのはトップの点数をつけたもので、1本あたりのリバティの希望小売価格も併記している。取扱業者はwine-searcher.com で見つけることができる。

白ワイン

Bellavista, Satèn Brut 2011 Franciacorta £48

Ca' dei Frati, I Frati 2016 Lugana £19

Franz Haas, Manna Schweizer 2015 IGT Vigneti delle Dolomiti £28

Pieropan, La Rocca Classico 2015 Soave £29

Specogna, Ramato Pinot Grigio 2016 Friuli Colli Orientali £18

赤ワイン

Allegrini, Classico 2013 Amarone della Valpolicella £65

A Mano, Imprint Appassito Primitivo 2015 IGT Puglia £15

Capezzana, Villa di Capezzana 2013 Carmignano £24

Capezzana, Ugo Contini Bonacossi 2013 Carmignano £55

Petrolo, BogginAnfora 2015 Val d'Arno di Sopra £68

Poggio al Tesoro, Sondraia Superiore 2013 Bolgheri £37

Bruno Rocca, Rabajà 2014 Barbaresco £90

Selvapiana, Bucerchiale Riserva 2013 Chianti Rufina £26

Selvapiana 2013 Pomino £18

G D Vajra, Coste & Fossati 2015 Dolcetto d'Alba £20

(原文)

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